ゴールデンウィークの中盤に、残雪と岩のコントラストがとても美しく輝く穂高へ行ってきました。北穂高の東稜は穂高バリエーションルートの入門的コースで、例年だととても親しみやすいコースです。今年は全く別の顔でしたが…。
5月4日
5:00 涸沢ヒュッテ出発
7:00 東稜取付き
登攀
10:50 北穂山頂
14:00 涸沢ヒュッテ
17:45 横尾山荘着(泊)〔行動時間:12時間45分〕
冷えて雪が締まっているうちに歩きはじめる。北穂沢もアイゼンが良く効き、割と歩きやすい。
北穂沢ゴルジュの上部に出て、平坦地を東稜へ向かってトラバースする。東稜の雪壁には、すでに一人の登攀者がいた。
我々はロープを結びあって、先頭のクライマーが付けてくれたトレースを追う。
途中で先頭クライマーと会い、一言二言話をしたあと、我々が先頭になって東稜の登攀を始める。
雪質は今の所悪くないが、気温がどんどん上がっているのが気がかり。
東稜を登っていると、北穂沢の方から「雪崩だぞ~!」という声が何度も聞こえた。
核心部のゴジラの背は、例年のGWだと岩の雪は全て融けて、素手でも登れるくらいだが、今回は新雪が積もっていて、難しい状況であった。
足のスタンスも手のホールドも隠れており、ホールドを探すのに時間と手間がかかる。
しかし天気だけは味方してくれて、まったく崩れる気配はない。
2ピッチでゴジラの背を越えた。お客様にとっては非常に難しい核心部の通過であり、「うまく突破できるかな」と心配していたが、ニコニコしながら突破してきて、「楽しい~!!」と仰っていてひと安心。
その後岩稜部からの下降点に着く。雪で下降支点は埋まっている為、急な雪壁を、上からビレイしながらお客様に降りて頂く。クライムダウンの距離はおよそ10~12m。
ここが済んだらあとは頂上までラッセルの体力勝負だ。
空と頂上がどんどん近くなるにつれて高揚感も増してくる。
10時50分、登山者がたくさんいる北穂高小屋のテラスに登りついた。お客様と硬い握手を交わす。
しばし体を休めた後、慎重に北穂沢を下った。
この日の北穂東稜の核心部は非常に難しい状態になっていました。残置のピトンなどは全て埋まっており、それを掘り出す手間を取るか、時間を優先して先へ進むかの判断が必要でした。また核心部のホールド・スタンスは全て埋まっており、進むのに結構時間を要しました。
頂上からの下降は雪が緩んで、かなり歩きづらくなっていました。北穂沢の雪崩も小規模なものが何度かありました。気温の緩む時間帯は要注意です。
岩稜(核心)セクションでは、雪がなければ岩角や残置ピトンが使用可能。ただし残置ピトンは腐敗している可能性がある為、使用前にハンマーで叩くなどのテスティングは必須です。
積雪がある場合は、懸垂下降支点が使えません。従ってクライムダウンとなります。1番手は上からビレイされているので安心ですが、2番手は絶対ミスできません。細心の注意を払っての行動が必要です。
全ルートを通して、ロープを縮めたり伸ばしたりを頻繁に行う為、この作業に時間がかかっていると、登攀時間が長引いてしまいます。ロープワークを事前に練習してから登ることが重要です。
50mシングルロープ×1
クイックドロー2本
スリング60㎝×1
スリング120㎝×2
安全環付カラビナ2個