〔ガイド記録〕子持山獅子岩ノーマルルート 2023年4月23日

〔ガイド記録〕子持山獅子岩ノーマルルート 2023年4月23日

2023年4月24日

近頃クライミングの力をどんどん付けて来ているお客様と共に、群馬県の子持山獅子岩ノーマルルートを登ってきました。渋川市の北側に位置する子持山獅子岩は、渋川の街からもよく見えます。この岩壁は高さおよそ150mほどあり、ルート上の岩は概ね硬く、思い切ったムーブを出してクライミングを楽しむことができます。このノーマルルートはピッチ最高グレードが5.8と、数字だけ見れば初心者向けですが、実際はその独特な岩の形状により、所々丁寧なフットワークが要求されるルートです。

20230423_010632739_iOS

行程

08:33 7号橋駐車場

09:16 獅子岩基部着

10:06 ノーマルルート登攀開始

14:15 獅子岩の頭

14:50 獅子岩基部帰着

15:34 7号橋駐車場帰着

レポート

この日は日曜日なので、7号橋の手前、5号橋駐車場などに車が何台も止まっていました。でもなんと獅子岩のクライマーは我々を含めてたったの2パーティ。意外でした。

前のパーティ全員が離陸するのを待ち、我々もスタート。この前の3人組は、なんとリーダーさんの喜寿のお祝いクライミングだとのことです。なんと素敵なことではないですか。リーダーさんのお弟子さん達がリードを務めていました。

1ピッチ目と2ピッチ目はとても短いので、リンクすることができますが、前が少し詰まっていたので、トポ通りに1ピッチと2ピッチを区切って登りました。1ピッチ目は傾斜は緩いものの、ホールドの向きが少し偏っていて斜めな為、あさイチの身体には少々登りづらい。

2ピッチ目は傾斜が80度ぐらいになり、短いが踏ん張りが必要なピッチです。

3ピッチ目、ここはすごく見栄えのする場所。おっきなフレークを掴みながらレイバックで登っていきます。「これ、剝がれちゃうんじゃないの?」と疑いの心を持ちながらも、大胆なレイバックをかましながら登っていくと、あっさりとテラスに立つことができます。

20230423_022507884_iOS

        ↑3ピッチ目のフレークを掴む直前

そして4ピッチ目はルートの核心で5.8。グレードだけを見ると居眠りしてても登れるんじゃないかと思う人もいることでしょう。でも実際は結構繊細なフットワークとムーブが要求される、面白いセクションです。マルチピッチだからといって、ブカブカの緩い靴を履いていると痛い目に遭います。すこしタイトで、小さなスタンスにも立てる靴を履いた方が自信をもって登れることでしょう。

20230423_035458346_iOS

        ↑核心の4ピッチ目の登攀

そしてここから少し傾斜が緩くなります。5ピッチ目は5.6という低グレードが付けられていますが、ここも侮れない。ホールドは一見すべて外傾していて、スローパーばかり。でもよーく周りを見渡してみると、しっかり掴めるホールドが要所要所にあります。

20230423_042402457_iOS

 ↑5ピッチ目のスラブ帯

そして6ピッチ目は目の前の傾斜の強い壁を、左斜めに登っていきます。ステンレスのハンガーボルトが導いてくれます。ここは高度感はなく、ホールドも豊富ですが、それまでのタフなクライミングで疲れてくる場所なので、慎重に登ります。

20230423_042012128_iOS

 ↑6ピッチ目はこの壁を左斜めに上がっていく。ハンガーボルトに導かれて登る

これを上がり切ると、一旦平坦な場所に出ます。そして最後は獅子岩の頭に登る最終ピッチ。右から回り込むと、登山靴でも登れる鎖場がありますが、我々はクライミングなので、正面の左カーブしたスラブを登ります。意外とこのスラブは難しいです。どこをとっても登っていけますが、我々は一番左を上がりました。

頂上へでると、そこでBBQをしている登山者パーティがいました笑。どうも下にいた時に焼肉の臭いがするなと思ったら彼らでした笑。この絶景を見ながらの焼肉、悪くはないですね。

頂上は風が吹いて寒かったので、すぐに降りました。この下は岩壁を懸垂下降することもできますが、時間も結構押していたので、岩壁の脇にある登山道を下って、基部の荷物を取りに行きました。およそ15分~20分で戻れます。

こうして1日がかりの登攀が無事終わったのでした。

アプローチ

7号橋駐車場から登山道を歩いて30~50分。

子持山獅子岩ノーマル230423

        ↑この標識を左に進むと獅子岩が見えてくる。

使用ギア

  • ダブルロープ50m(シングルロープ50mでも行ける。ただし懸垂下降はダブルが必要)
  • クイックドロー9本。1~2ピッチ目をリンクする場合はあと5本ぐらい必要
  • スリング120㎝×2本・60㎝×2本

注意事項

①このルートは全体を通して、ステンレス製のハンガーボルトが打たれています。しかし場所によっては古いリングボルトやアイボルトなど、墜落の衝撃にまったく耐えられない物も残っています。このような危険なボルトはできるだけ使用を避けるか、それらのそばにある強固なハンガーボルトを併用するようにした方が、安全度が高いです。

②ルートの概ねは硬い岩で安心感があります。しかし数か所で岩がカタカタ動く場所があります。手をかける時はよくチェックしてからの方が無難です。

このルートを登る為に必要な練習方法など

このルートをテンションかけずに登れるようになるには、スラブの登攀力とフェイスの登攀力の両方が必要です。また、1日分の飲物や食べ物、登山靴などを背負って登るのであれば、ザックを背負って5.8が登れるようになる必要があるでしょう。(軽荷で行くのもあり)

アルパインガイド山田祐士で実施しているクライミング講習会は以下の通りです。