下界が猛烈な暑さに見舞われいてる日、涼を求めて谷川連峰のナルミズ沢へお客様をガイドしてきました。この沢は下流域はものすごい水量と迫力のある滝で、こんなところ遡行できるのかと思うぐらいの威圧感なのですが、上流部は沢登り初心者向けの、美しくて明るい渓相が広がっています。
【1日目】
11:10 宝川ゲート前
11:40 ゲート出発
↓林道歩き
12:30 登山口
↓登山道歩き
13:45 渡渉点(1165m)
14:30 ウツボギ沢出合 ビバーク
【2日目】
06:05 ウツボギ沢出合出発
↓登山道歩き
06:30 入渓(1220m) 大石沢出合より500mほど手前
↓ナルミズ沢遡行
06:56 大石沢出合(1290m)
07:50 魚留の滝
09:45 奥の二俣
10:20 稜線
10:36 大烏帽子山頂上(1820m)
↓同ルート下降
11:09 奥の二俣
12:54 二俣
14:25 大石沢出合
15:20 ウツボギ沢出合
16:05 ウツボギ沢出合出発
↓登山道歩き
18:08 ゲート到着
1日目
宝川温泉から2キロほど林道を走ったところに、鉄製のゲートがある。その手前に3~4台ほど車を止められる所がある。ここまでは車高の高い車じゃないときついだろう。道は狭くイタドリなどの雑草も生い茂っている為、綺麗な車での進入はお勧めしない。
そこから荒れまくった林道を1時間ほど歩く。そうするとようやく朝日岳への登山口に着く。
登山口からは急登やアップダウンの連続。そして非常に足場が悪く、登山道と呼んでいいのか分からない。滑りにくいソールの登山靴は必携品だ。
登山道の遥か下には、宝川の激流が垣間見える。
1時間ほどでようやく宝川の川岸に出る。靴を脱ぐか、沢靴に履き替えるかして川を渡渉する。沢の中の石はヌルヌルして滑りやすい。実際私はもう少しで対岸に着くというところで足が滑ってコケた。(裸足)
対岸に渡り、10分ほど登山道を歩くと、ウツボギ沢出合の広河原に到着する。幅の狭いウツボギ沢を渡り対岸の藪の中に入ると、結構広いビバーク地がある。またナルミズ沢対岸にも平坦で程よい木陰のビバークサイトがある。泊ったことはないが、こちらの方が居心地が良さそうである。
暑い暑い3時間弱の歩きを労う為に、背負っていった小玉スイカを切ってみんなで食べた。これは美味しい!!
スイカを楽しんだ後は、みんなで薪集めをしました。
夜は焚火で暖を取り、ジンギスカンを食す。最近マイブームの石板焼肉!!お客様にも好評だった。そして沢登り恒例のウィンナー直火焼き。
↑直火焼きウィンナーを楽しむお客様
2日目
夜明けより少し前に起きて、おき火になっていた焚き火を復活させる。朝はコーヒーとお蕎麦。
食事の後出発の準備をして、ウツボギ沢出合をあとにする。
しばらくはナルミズ沢沿いの登山道を歩く。ナルミズ沢に最初から入ってもいいが、この日の長い行程を考えて、最初は省略することにした。
大石沢出合より500mほど下流に、登山道がナルミズ沢と最接近する場所がある。ここから遡行開始である。
↑入渓点(1220m)
出だしから美しいナメが広がる。特に難しい箇所もなく、景色を堪能しながら進む。
時々出てくる小さな滝は、ルート図を参考にしたり、現場をよく観察したりして、どこから安全に登れるかを判断する。
大石沢を過ぎてしばらく進むと、S字状ゴルジュが出てくる。ゴルジュと言っても流れはそれほど強くなく、岸のホールドを掴んだりしながら難なく突破できる。S字状ゴルジュの最後はどっちの壁側から突破するかに知恵を絞る必要がある。
S字状ゴルジュを過ぎてまたしばらく歩くと、この沢で一番大きな滝、「魚留メ滝」8mが現れる。これは滝の右端を直登することができる。直登に自信が無い場合は、右側から高巻きすることが可能。
↑魚留メ滝8m だいたいⅢ級。
この魚留メ滝を越えるとジャンクションピークの岩壁が雄大に広がってくるのが見られる。そしていくつかの滝を直登したり高巻いたりしていくと、二俣(1410m)にでる。二股は右側の本流を選び、ナルミズ沢のフィナーレを楽しむ。
↑ジャンクションピークの威容
↑こんな景色が広がり、沢登りも大詰めを迎える
↑最後の2m直登滝は今回右岸より高巻いた。慎重に手足を動かす
(ルート図には左岸側を直登と書かれている)
奥の二俣は左にルートを取り、チョロチョロになった流れに沿ってしばらく歩く。次第に水流は最後の1滴になり、そこから踏み跡を辿って稜線を目指す。
当初の予定では、稜線から朝日岳を経由してウツボギ沢出合に戻る行程だった。しかし無風快晴で気温も高い状態であり、熱中症になりそうな予感がしたため、今回は大烏帽子山(1820m)を最高到達点として、同ルートを下降するコースを採ることにした。これなら足はいつも水の中に浸っていて熱中症の危険が少ない。
↑こんな天国のような場所をしばらく歩く
↑藪漕ぎもなく草原を頂上へ向かう
そしてついに大烏帽子山頂上に立つ!!
帰りは滑らないように慎重に歩き、ナルミズ沢を下る。途中ナメが連続するような場所は、ロープによりお客様を確保しながら下降した。
やっぱりナルミズ沢は良い沢です。難しい滝やゴルジュがなく、初心者でも十分に楽しめる沢。しかしそれは経験者・熟達者と同行する場合に限ることです。初心者同士で行くような易しい沢ではありません。増水の勢いもすさまじいし、こんな携帯電話の電波が届かない所で怪我でもしたら、どうやって助けを求めたりフィールドを脱するのでしょう。沢を甘く見てはいけません。
とはいえ素晴らしい景色を堪能できる、谷川入門の沢としてここはとても貴重な場所だと思います。